社労士が答える「医療機関労務相談」
病院、クリニック、医療機関の様々な労務の問題、トラブルに社労士がお答えします
◆相談-5 | |
◆相談-4 | |
◆相談-3 | |
◆相談-2 | |
◆相談-1 |

相談内容-1 「問題のある職員をなんとかしたい」
当院は地域密着型の医療法人で、おかげさまで地域の方々の評判もよく、経営そのものは順調です。ところが最近ある問題が発生しました。というのは、女性クラークが、とある新興宗教に加入したようで、休憩中や就業時間終了後に、時には勤務時間中にも、同僚はじめ、医師や看護師に勧誘活動をしている事実が発覚したのです。内外に対する悪影響が出る前に、この女性クラークを穏便になんとかしたいのですが、どうすればよいでしょうか。


どうやらこの女性クラークの「解雇」のお望みが強いようですが、この事実だけをもってしてただちに解雇するというのは実際不可能です。まず、日本国憲法第14条第1項で、信条により差別されない旨、そして同20条第1項で、信教の自由を保障する旨、それぞれ定められており、また、労働基準法第3条では、「使用者は、労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と規定しています。さらに、ここ数年、使用者の解雇権の行使に関してはかなり厳しく規制されており、平成20年3月1日に施行された『労働契約法』では、解雇について、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と明文化されています。
しかし、問題解決の方法がないわけではありません。就業規則に(未整備の場合は作成)懲戒処分の規定を記載し、勧誘活動を行った場合には懲戒の対象になる旨盛り込むのです。使用者である病院は、院内秩序を定立し、その院内秩序を維持し、その円滑な運営を図るため、病院全職員に対してこれに服することを求めることができ、違反があれば、秩序を乱す者として懲戒処分の制裁を行うことができるのです。
あまりおだやかな話ではなくなりましたが、まずは本人に勧誘活動の事実確認をし、そうであれば注意を促し、同時進行での就業規則の見直しや整備等を行うのがよいでしょう。
こちらのフォームからお問い合せ下さい